ホテル・ユーゴスラヴィア



Hotel Jugoslavijaは1969年に国賓などVIPのための最高級ホテルとしてドナウ河畔に建てられた歴史ある建物です。

1999年のコソボ紛争の際にNATOの爆撃を受け、一部が損傷し長年放置されたままとなっていましたが、近年修復され、一部がホテルとして復活と遂げたのです。

Booking.comなどの口コミでは辛口なコメントが目立ちましたが、泊まってみてなるほど。

清潔さ、設備の老朽化などにやや難アリで、快適なホテルライフを求める方にはかなりの確率で満足していただけないホテルではあります。でも当時の面影を残したままの客室に泊まれるという意味では、往時に思いを馳せたい旅人にはうってつけのホテルだと言えるでしょう。



1階正面エントランスの両脇にはレストランがオープンしています。

ローラースケートを履いたお姉ちゃんがハンバーガーを運んできてくれる、という良き時代を再現したアメリカンダイナー。
地元の方にはまずまず好評なようですが、ちょっと場違いな感じ。

ホテルロビーも、青とピンクの怪しげな照明に照らされたヘンテコな空間。クラブみたい。
おまけに安っぽいアロマの香りが充満している。

2010年にギリシア資本によって再建されたようですが、何でこんな悪趣味な改修をしたのか首を傾げたくなる。



エレベーターに乗り客室階へ着くと、そこからは安心のユーゴノスタルジーな空間が広がっています。
暗~くて、一直線に続く廊下をひた歩き、客室に入る。







良く言えばアンティーク、悪く言えば老朽化。
良く言えば哀愁がある、悪く言えば陰鬱・・・。

一人傷心旅行などで訪れようもんなら、この部屋の雰囲気に後押しされてそのままドナウ川に身を投げてしまいそうな感じです。







照明も暗く(一部抜き出しの蛍光灯あり)、絨毯も壁紙もすすけ、バスルームもとうに現役を引退したくらいのくたびれ具合(風呂を使うと、便器とバスタブの間にある排水溝から泡が噴出してビックリ)。




なかなか開かない鍵に苦戦(緊急避難が必要な際も逃げ遅れる事必至)。

テレビだけが唯一の現世界との架け橋。



と、こんな書き方をすると何ひとつ良いところがないように思えますが、これこそ私が思い描いていた部屋です。

悲哀に満ちた社会主義時代の映画のワンシーンのような絵になる空間。
ようやくベオグラードに辿りついたんだ、という思いがいやがうえにも高まります。



連泊となると少々しんどいかもしれませんが、ベオグラードに数日滞在するようであれば、一泊くらいはよいのでは?

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ホテルHP
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※2016年10月時点の情報です